伝え方の“本質”に迫る──ビジネスの信頼を支える武器とは
6月も最終週。今週は恒例の「社長の本棚」カテゴリとして、私が最近読んだ中で印象に残った一冊をご紹介します。
それは、報道記者・国際ジャーナリストの 豊島晋作氏 による
『「伝え方」の本質』(日経BP) という書籍です。
1. なぜ、いま「伝え方」が問われるのか
著者の豊島氏は、テレビ東京の報道記者・キャスターとして、政治・経済・国際情勢の最前線で取材・発信してきた人物です。
そのキャリアの中で蓄積された経験をもとに、“伝えるとは何か”という本質に踏み込んだのが本書です。
特徴的なのは、表面的な話し方のテクニックではなく、
「なぜ伝わらないのか」「なぜ誤解されるのか」といった根本の構造に焦点を当てている点です。
これは、エンジニアとして現場に立つ私たちにとっても、非常に重要な視点だと感じました。
2. 「伝わらない」のは、受け手のせいではない
本書で一貫して語られているのは、
「伝わらない原因は“受け手”ではなく“伝える側”にある」というメッセージです。
たとえば、こんな経験はないでしょうか?
- 説明したつもりなのに、相手に誤解された
- 「言ったはず」と思っていた内容で後から揉めた
- 技術的には正しいことを話しているのに、なぜか納得されない
こうした状況に直面したとき、私たちは「相手の理解力が足りない」と思いがちですが、
実は “自分の伝え方”に責任があると捉えるべきなのです。
3. 話し方ではなく、「伝わり方」を設計する(PREP法も)
豊島氏は「伝え方とは“設計”である」と述べています。
つまり、以下のような視点を持つことが不可欠です。
- 相手がどんな前提知識を持っているか
- 何を伝えるべきか
- どう伝えれば相手にとって意味があるか
そのうえで、実践的な工夫として次のようなポイントが紹介されています:
- 相手の頭の中の地図を想像する
- 要点は一つに絞る
- 言葉をシンプルに、かつ正確に
- 相手の時間を尊重する(=短く、速く、的確に)
また、私が過去のブログ(「結論から話す──エンジニアのための伝え方の技術」)でも紹介したPREP法は、本書の内容とも深く通じています。
P(Point):結論
R(Reason):理由
E(Example):具体例
P(Point):再度の結論
この流れを意識することで、情報の構造が明快になり、誤解や混乱を防ぐことができます。
電話や会議、チャットなど、どんな場面でも応用できるシンプルかつ強力なフレームです。
4. エンジニアの「伝え方」も評価に直結する
SESの現場では、技術力だけで評価されることはほとんどありません。
むしろ、「伝える力」で信頼を得られるかどうかが、結果として高く評価されるケースも少なくありません。
- 進捗報告がわかりにくい
- 会議で要点がぼやけてしまう
- チャットが冗長で、結局何が言いたいのかわからない
こうした伝え方は、“信頼の損失”に直結します。
逆にいえば、「伝え方」によって技術を“価値”に変えることができるのです。
まとめ:伝え方は、信頼と責任の表現
『伝え方の本質』を読んで改めて感じたのは、
「伝える」という行為は、スキルであると同時に、“信頼と責任”の表現そのものであるということです。
- 相手の立場に立ち
- 誤解を未然に防ぎ
- 限られた時間の中で本質を届ける
このような伝え方の姿勢が、チームやクライアントとの信頼関係を築き、結果として良い仕事の実現につながります。
エンジニアにとって「伝え方」は、後回しにすべきスキルではありません。
むしろ、自分の技術と価値を正しく評価してもらうための鍵なのです。
ぜひ本書を手に取り、「伝える」という営みをもう一度見つめ直してみてはいかがでしょうか。
新しい視点と実践のヒントが、きっと得られるはずです。



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