『頭のいい人が話す前に考えていること』──“話す前に考える”という知的習慣

こんにちは。クラウン情報テクノロジーの増井です。

当社ブログの「社長の本棚」シリーズでは、毎月1冊、私自身が読んで印象に残った本を取り上げています。
今月ご紹介するのは、安藤裕哉さんの著書
📘『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)です。

タイトルだけ見ると「話し方のテクニック本」のように思うかもしれません。
しかし実際には、“話す前に考える”という知的プロセスの鍛え方を説いた、とても実践的な思考の書です。
システム開発やマネジメントの現場にも、深く通じる内容だと感じました。


1. 「話す前に考える」とは、相手を尊重する行為

著者は本書の冒頭でこう述べています。

「話すとは、相手の時間をもらうこと。」

この言葉にはハッとさせられました。
自分が何を伝えたいかだけでなく、相手にとってどう価値があるかを考えて話す。
その意識が「頭のいい人の話し方」の本質だと説かれています。

📖 私の実感としても、会議や報告で“考えずに話す人”と“整理してから話す人”では、同じ内容でも説得力がまったく違います。
特にリーダーやPMは「短く・正確に・本質を伝える」ことが求められます。
これは単なる話し方ではなく、相手の思考プロセスに寄り添う技術です。


2. 「考えてから話す」人の頭の中では何が起きているか

本書では、話す前に考える人が行っている3つのプロセスを紹介しています。

1️⃣ 目的の明確化:「何を伝えたいのか」
2️⃣ 構造の整理:「どういう順で話すのか」
3️⃣ 相手の立場に変換:「相手にとって何が価値か」

これはそのままシステム設計にも通じます。
目的定義 → 設計構造化 → 利用者視点への変換。
私たちが要件定義で日々行っている思考の流れとまったく同じです。

つまり、「頭のいい人」は話す前にミニ要件定義をしているようなもの。
“話す力=考える力=構造化する力”なのです。


3. 「すぐ話す人」と「考えて話す人」の違い

著者は次のように述べています。

「すぐ話す人は、自分の中で考えが整理されていない証拠。」
「頭のいい人は、沈黙を恐れない。」

多くの人が「間を空ける=頭が悪いと思われる」と感じがちですが、実は考えてから話す“間”こそが信頼を生むのです。

特にマネージャーや営業が発言する場では、すぐに答えるよりも、一度“考える間”を置くことで、言葉に重みが生まれます。

システム開発の現場でも同じです。
質問を受けて即答するよりも、「確認させてください」と整理してから答えるほうが、結果的に信頼されます。
考えてから話す=相手の信頼を積み上げる時間なのです。


4. 言葉にする前に「構造」を描く

本書の中で特に印象に残ったのは、著者のこの言葉です。

「考えるとは、情報を構造化すること。」

頭の中で構造化できていないものは、いくら話しても伝わりません。
逆に、構造が明確なら、短い言葉でも相手に届きます。

これはエンジニアにとっても本質的なスキルです。
ソースコードを書く前にアーキテクチャを描くように、報告や提案をする前にも思考のアーキテクチャを描く。
それが「話す前に考える」という行為です。


5. “言葉にする前に考える文化”を育てたい

本書を読みながら感じたのは、これは個人のスキル本というより、組織文化の指南書でもあるということです。

“考えずに話す文化”が広がると、会議は長くなり、判断は曖昧になります。
“考えて話す文化”が根付くと、議論は短く深くなり、意思決定が速くなります。

クラウン情報テクノロジーとしても、
「話す前に考える」文化を日常に浸透させたいと考えています。
それは、単にコミュニケーションを良くするためではなく、信頼をコードで支えるエンジニア集団であり続けるための知的基盤だからです。


まとめ:考えることは、相手を思うこと

『頭のいい人が話す前に考えていること』は、話し方の本ではなく、“思考と対話のデザイン”の本です。

  • 話すとは、相手の時間をもらうこと
  • 考えるとは、構造化すること
  • 沈黙は信頼の前提
  • 「伝える」は、「相手の理解を設計する」こと

エンジニアが設計図を描くように、私たちも言葉を設計して相手に届ける。
その意識が、チームを強くし、組織を賢くする第一歩だと感じました。

「話す前に考える」――
それは、相手を思いやる“知的な優しさ”の表現でもあります。

クラウン情報テクノロジーが求めているのは、派手なプレゼンや声の大きさではなく、「考えてから話せる人」です。

現場で課題を整理し、相手の立場を理解し、言葉とコードで信頼を築ける人。
そうした“静かな知性”を持つエンジニアが、これからの金融システムを支えていくと信じています。

もしあなたが、「単なる開発」ではなく「社会の信頼をコードで支える仕事」に挑戦したいと思ったなら、ぜひ私たちの仲間になってください。