なぜ「報連相」ができるエンジニアほど信頼されるのか

こんにちは。株式会社クラウン情報テクノロジー代表の増井です。

今月は「成長するエンジニアの考え方」をテーマに、私が約30年間、金融ITの現場で感じてきたことをお伝えしています。

前回は、「分からない」と言えるエンジニアほど成長する、というお話をしました。
今回はその続きとして、仕事をする上で欠かせない「報連相(報告・連絡・相談)」について書いてみたいと思います。

「報連相」と聞くと、新入社員の研修で教わる基本的なこと、という印象を持つ方もいるかもしれません。
しかし、私はむしろ経験を積み、仕事を任されるようになったエンジニアほど、報連相の重要性は高くなると考えています。

なぜなら、報連相は単なる情報共有ではなく、お客様や周囲からの信頼をつくるための大切な仕事の一つだからです。

1. お客様が困るのは「問題が起きること」だけではない

システム開発の現場では、どれだけ注意していても問題が起きることがあります。
想定していた通りに開発が進まなかったり、調査に時間がかかったり、仕様に不明点が見つかったりすることもあります。

問題が起きること自体を、すべて避けることはできません。

しかし、お客様やリーダーにとってもっと困るのは、「問題が起きていることを知らない」状態です。

「予定通り進んでいると思っていたら、実は数日前から遅れていた。」

「本人だけで問題を抱えていて、期限直前になって初めて分かった。」

こうなってしまうと、周囲も対応することができません。

逆に、早い段階で「少し遅れそうです」「ここで困っています」と共有されていれば、相談しながら対応策を考えることができます。

報連相とは、問題が起きてからするものではありません。問題が大きくなる前に、周囲が動ける状態をつくることが大切なのだと思います。

2. 「悪い報告」ほど早く伝える

私は仕事をする上で、特に大切なのは悪い情報ほど早く伝えることだと考えています。

順調に進んでいる時の報告は難しくありません。
しかし、「間に合わないかもしれない」「ミスをしてしまった」「想定していた結果にならない」といったことは、どうしても報告しづらいものです。

「もう少し自分で何とかしてから報告しよう」と考えてしまう気持ちも分かります。

しかし、時間が経つほど選択肢は少なくなります。早い段階なら一緒に対応方法を考えることができた問題も、期限直前になれば打てる手が限られてしまいます。

だからこそ私は、良い報告よりも、悪い報告を早くできる人の方が信頼できると考えています。

ミスをしない人が信頼されるのではありません。問題が起きた時に隠さず、早く共有し、解決に向けて動ける人が信頼されるのだと思います。

3. 「報告する」だけではなく、自分の考えも伝える

もう一つ大切なのは、報連相の「質」です。

例えば、

「問題が発生しました。どうすればいいでしょうか。」

と報告するだけでも、何も言わないよりはもちろん良いでしょう。

しかし、経験を積んだエンジニアには、もう一歩先を目指してほしいと思っています。

「こういう問題が発生しています。原因は○○だと考えています。私は△△という対応が良いと思いますが、いかがでしょうか。」

このように、

事実 → 自分の考え → 対応案

まで整理して伝えることができれば、報告を受ける側も判断しやすくなります。

これは、以前のブログでも書いた「考えるエンジニア」にもつながる話です。

若いうちは「何が起きているか」を正しく伝えるだけでも十分です。
しかし経験を重ねるにつれて、「では、どうすればよいのか」まで考えて伝えられるようになる。それがエンジニアとしての成長の一つだと私は考えています。

4. 報連相は「相手を安心させる」ためにある

報連相というと、「上司に報告しなければならない」という義務のように感じる人もいるかもしれません。

しかし、私は少し違う捉え方をしています。

報連相とは、一緒に仕事をしている相手を安心させるためのものでもあります。

例えば、仕事をお願いした相手から何日も連絡がなければ、「ちゃんと進んでいるのかな」と心配になります。
一方、「ここまで終わっています。予定通り○日には完了します」と一言連絡があれば、それだけで安心できます。

これはお客様との関係でも同じです。

技術力が高いことはもちろん大切です。
しかし、お客様が仕事を任せたいと思うのは、「この人なら状況をきちんと共有してくれる」「何かあれば早めに相談してくれる」と思える人ではないでしょうか。

私は約30年間現場で仕事をしてきましたが、お客様から長く信頼されるエンジニアは、例外なくコミュニケーションを大切にしています。

技術力だけではなく、相手を安心させることができる。それも、プロのエンジニアに必要な力だと思います。

5. まとめ

報連相は、新人だけが身につけるものではありません。経験を積み、より大きな仕事を任されるようになるほど、その重要性は高くなります。

問題を抱え込まない。悪い情報ほど早く伝える。そして、経験を積んだら事実だけでなく、自分の考えや対応案まで伝える。

こうした一つひとつの積み重ねが、「この人なら安心して仕事を任せられる」という信頼につながります。

エンジニアの市場価値は、技術力だけで決まるものではありません。
お客様や周囲から信頼され、「またこの人と仕事をしたい」と思ってもらえることも、大切な価値の一つです。

当社でも、単に技術力の高いエンジニアではなく、周囲とコミュニケーションを取りながら、自ら考え、お客様から信頼されるエンジニアを育てていきたいと考えています。

6. Podcast

Podcastでは、エンジニアとして成長するための考え方や、現場で実際に感じていることについてもお話ししています。

ご興味のある方は、ぜひお聞きください。

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