なぜ「説明できるエンジニア」は市場価値が高いのか
こんにちは。株式会社クラウン情報テクノロジー代表の増井です。
今月は「成長するエンジニアの考え方」をテーマに、私が約30年間、金融ITの現場で感じてきたことをお伝えしています。
これまで、「分からない」と言えること、そして「報連相」ができることの大切さについて書いてきました。
今回は、そこからもう一歩進んで、「説明する力」についてお話ししたいと思います。
エンジニアというと、プログラミングや設計などの技術力がまず思い浮かぶかもしれません。
もちろん技術力は大切です。
しかし、経験を積み、上流工程へ進むほど、「自分が分かっていることを、相手にも分かるように説明する力」が求められるようになります。
私は、この「説明する力」がエンジニアの市場価値を大きく左右すると考えています。
1. 「分かっている」と「説明できる」は違う
自分では理解しているつもりでも、いざ誰かに説明しようとすると、うまく言葉にできないことがあります。
これは決して珍しいことではありません。
「なぜこの仕様になっているのか」「なぜこの対応が必要なのか」と聞かれた時に、相手が理解できるように説明するためには、自分自身がその内容をしっかり理解している必要があります。
つまり、説明できることは、理解できていることの一つの証明でもあります。
反対に、専門用語を並べるだけだったり、「そういう仕様です」で終わってしまったりする場合は、自分自身も本質まで理解できていないことがあります。
人に説明しようとすることで、自分の理解が曖昧だった部分に気付くこともあります。説明することは相手のためだけではなく、自分自身の理解を深めることにもつながるのです。
2. 相手によって説明の仕方を変える
説明で大切なのは、正しいことを話すだけではありません。「誰に説明するのか」を考えることも重要です。
例えば、同じシステムについて説明する場合でも、相手がエンジニアであれば技術用語を使った方が早く伝わることがあります。一方、業務部門のお客様に同じ説明をしても、専門用語ばかりでは伝わりません。
お客様が知りたいのは、必ずしもシステム内部の細かな仕組みではなく、「業務にどのような影響があるのか」「何が変わるのか」「どんなリスクがあるのか」ということかもしれません。
相手が何を知りたいのかを考え、その人に合わせて言葉を選ぶ。
私は、これもエンジニアに必要な大切な能力だと考えています。
3. 上流工程ほど「説明する力」が求められる
当社では、要件定義や基本設計などの上流工程を担えるエンジニアを育てることを大切にしています。
上流工程では、プログラムを書く時間よりも、お客様と話したり、要件を整理したり、資料を作成したりする時間の方が多くなることもあります。
「お客様が実現したいことは何なのか」
「システムではどのように実現するのか」
「なぜこの方法を選ぶのか」
こうしたことを整理し、お客様やプロジェクトメンバーに説明し、認識を合わせながら仕事を進めていきます。
どれだけ良い設計を考えても、その意図を相手に伝えられなければ、プロジェクトを前に進めることはできません。
だから私は、上流工程を目指すのであれば、技術力と同じくらい「説明する力」を磨いてほしいと思っています。
4. 業務知識があるから、分かりやすく説明できる
以前のブログで、当社が業務知識を大切にしている理由について書きました。
説明する力と業務知識は、実は密接につながっています。
例えば金融システムであれば、システムの処理だけを理解している人と、その背景にある金融業務まで理解している人では、お客様への説明の仕方が変わります。
「この項目を変更します」という説明だけではなく、「この業務ではこういう理由があるため、この処理が必要です」と説明できる。
そこまで説明できれば、お客様との会話も変わってきます。
私は約30年間、金融ITの現場で仕事をしてきましたが、お客様から「この人に相談したい」と思ってもらえるエンジニアは、技術だけでなく業務を理解し、それを相手に分かる言葉で説明できる人だと感じています。
そういう人は、簡単には代わりが見つかりません。
だからこそ、説明する力はエンジニアの市場価値につながるのだと思います。
5. AI時代だからこそ、「説明する力」の価値は高まる
これからは、AIによってエンジニアの仕事も大きく変わっていくと思います。プログラムの作成や調査、資料の下書きなど、これまで人が時間をかけて行っていた仕事の一部は、AIによって効率化されていくでしょう。
だからこそ、人に求められるのは、単に「作業ができること」だけではなくなっていきます。
何が問題なのかを考える。お客様の要望を理解する。選択肢を整理する。そして、自分の考えを相手に分かるように説明し、合意形成する。
こうした仕事は、これからさらに重要になると私は考えています。
AIを使うことはもちろん大切です。しかし、AIが出した答えをそのまま伝えるのではなく、自分で理解し、自分の言葉で説明できることが、これからのエンジニアには求められるのではないでしょうか。
6. まとめ
エンジニアの市場価値は、知っている技術の数だけで決まるものではありません。
自分が持っている技術や知識を使って問題を解決し、その考えを相手に分かるように伝える。そこまでできて初めて、その知識はお客様にとっての「価値」になります。
「分からない」と言えることから学びが始まり、報連相によって周囲と情報を共有し、そして自分の考えを相手に説明できるようになる。
私は、こうした一つひとつの積み重ねが、エンジニアとしての成長につながると考えています。
当社でも、単に技術力を身につけるだけではなく、業務を理解し、自ら考え、それを相手に分かりやすく説明できるエンジニアを育てていきたいと思っています。
そして、お客様から**「この人に相談したい」「この人に任せたい」**と思っていただけること。それこそが、エンジニアにとって本当の市場価値の一つではないでしょうか。
7. Podcast
Podcastでは、エンジニアとして成長するための考え方や、現場で実際に感じていることについてもお話ししています。
ご興味のある方は、ぜひお聞きください。
👉 Spotify
https://open.spotify.com/show/5gd6zaGHfE2kQmylNUFc9r
👉 Apple Podcast
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/id1870195044


